女将のブログ

2019年も残りわずか

今年もご愛顧頂く皆様、各方面でお世話になりました皆様、
大変お世話になりまして有難うございました。
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世間は「平成」から「令和」に変わりましたが、
今年は祇をん新門荘にとりまして、創業70年を迎えた年でした。
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創業当時に「料理旅館」と看板を掲げていたそうですが、
料理が格段と素晴らしくなりました。
リピートくださるお客様方もみな一様に驚かれるばかりで、
また大変光栄なことに口コミにも「料理で選ぶならココ」と書いてくださるようになりました。
ようやく創業者の思いが形になってきたように思います。


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同時に社内体制も大きく変わりました。
特に京都では世襲制を重んじる旅館業界にとっては、
大変珍しく、親戚縁者ではない彼女に「若女将」として
活躍してもらうことを筆頭に、
変化を厭わないエネルギー漲る、
素直な20代30代の若手従業員が飛躍しました。


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古参の従業員もやっと活躍できる舞台を用意してもらったと言わんばかりに俄然張り切る人や、
これまでの半分の人員で社内が回ることに首を傾げながらも楽しそうに働く人。
長年願っていた部署間を超えた会話のある楽しい職場に変わりました。
文字通り少数精鋭で、互いに思いやりを持ち、助け合う素晴らしい職場環境です。
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私が自宅で子供の面倒をみて、いつも通りの時間帯で就寝している間も
汗水流し、睡眠を削り、懸命に業務に従事して、
真心こめてお客様を迎えてくれている従業員には本当に感謝しかありません。
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さて、私自身はというと40代に突入しました。
20代の頃から憧れていた40代。
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30代は連日の極度の睡眠不足とワンオペと闘いながらも、
それなりに仕事を頑張ってきた自負心があるので
わりと良い表情をした40代を迎えたと思っています(自画自賛)
刻まれる皺さえも、これまで笑顔で接客をしてきたからこそだと誇らしく思います。
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ココ・シャネルの名言、
「女は40を過ぎて始めておもしろくなる」を信じて
2020年も突っ走ろうと思っています。
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こちらのブログをご笑覧くださった皆様も
どうぞ佳いお年をお迎えくださいませ。

着物生地でバインダー&つり銭トレイ

5年ほど前に厚紙にフランスの生地を貼って箱を作る「カルトナージュ」というものに出合いました。今も仲良くさせてもらっているママ友が「東京から有名な先生が来るからレッスンに来ないか?」と声をかけてくれたのが きっかけです。

しかし当時の私は「カルトナージュ」という言葉はおろか、なんのジャンルかさえも全くわからず、もしや怪しい宗教の勧誘か?!と思ったぐらい無知でした。

まぁまぁお付き合いで一回だけ… と思っていたのですが、その後どっぷりハマってしまいました。そして、その数年後にはレッスン会場に新門荘をご提供するまでに。今や年10回ほどわざわざ東京からお越しいただき京都レッスンとして、定期開催していただくまでに。

Apres-midi(アプレ・ミディ) 木下康子先生

針作業はとても苦手なのですが、図工のような制作は好きだし、数ミリ単位の細かな作業をするのは好き。みんなで同じ作品を作っているのに、それぞれの個性が発揮できる「カルトナージュ」 そして、ご指導いただく木下先生の上品で落ち着いたセンスが、私の好みにドンピシャ。だから一回こっきりでなく、これまで続けさせてもらっているのだと思います。

さて、今までは決められた作品を、好みの生地を選定させてもらい作ってきましたが、元スタッフが「カルトナージュってそういうことなんですね!だったら最後のお釣り銭をお渡しするトレイはとても印象に残ると思うんですよね!」と素敵な提案をしてくれたこともあり、今回初めて ここ新門荘で使えるものを作りたいと希望を出しました。


母に 今や使わない着物を引っ張り出して来てもらいました。
勿体ない気もしますが、着ないのならゴミと同じ。
リバイバルさせるためにビリビリに裁断!
生地そのものはペラペラなので専用の補強紙をアイロンで裏打ちをして厚紙に貼っていきます。

時にチェックイン時が混み合った際に、ロビーの椅子に掛けて記帳してもらう事もあるので、その時に使用するクリップボードも併せて作成しました。

なんだ、厚紙に貼るだけ?と簡単そうに見えるかもしれませんが、箱の組み立てや補強作業もあり、ひとつのトレイを作るのに合計5時間はかかりました…

やっと私の数少ない趣味が仕事に活かされることになった~♪

こうなったら、コツコツとお部屋に入っている小間物トレイも作っていきたいですね! 
…全21室分 (|| ゚Д゚)  完成はいつになる?!

天皇陛下が目の前を!!

メディアでの報道通り、25日~28日まで天皇陛下・皇后陛下が京都奈良へお越しでした。京都市内では事前に交通規制の看板が出ており、この3日間はお天気にも恵まれ、空を見上げればヘリコプターもよく見かけました。

お帰りの最終日28日、私は珍しく自宅から地下鉄・京阪電車に乗って「三条京阪」まで出てきました。階段を上り地上に出ると、いつもワンサカひっきりなしの車が一台もない!! 次に目に入ったのは交差点四方の人だかり。

やや!もしや?! 期待を膨らまし警察官に尋ねると、なんと!
5分後に陛下がお通りになる、とのこと。

人生でこれほど興奮したことはありません。
わずかの5分間がこんなにも待ち遠しく幸せに感じた日はありません。

じきに新元号が発表され、まもなく平成も終わるという直前に、今上天皇を拝することができるとは夢にも思わず。 こちら側を向いて手を振ってくださった瞬間、カメラも忘れ思わずワー!!と声を上げ必死で手を振る私。

一気にドーパミンが溢れだしました。

今年の京都の桜開花は去年より遅めです。当館の目の前の白川に掛かる桜はようやく5分咲きといったところ。新元号が発表されてもしばらく愛でることができそうです。


今年はチャレンジした一年でした。

いよいよ年の瀬も押し迫り、新しい年を迎えようとしています。

このブログをご笑覧くださっている皆さんにとって
今年はどんな一年だったでしょうか。
年の初めに立てた目標は達成されましたか?

私は今までになく新しいことにチャレンジしたことが多い一年でした。

プライベートでは 恥ずかしながら2か月以上妊娠に気づかず、
大量出血で救急車で運ばれた3月。
思い切って1週間の休暇をとり、初ハワイを満喫。
ビジネス書、古典文学、フィクション、漫画、教育関連…
ジャンル問わず本もよく読みました。

それから、我が子が通う小学校と、保育園のバザー委員に任命され
秋は見事に毎日の予定がぎっしりで、仕事並みに動き回りました。

社内では、いわゆる「働き方改革」で、マルチタスクを目標に掲げ
スタッフの勤務スタイルを大きく変えていきました。

同時に来年からの販売体制を変える為に、
雇用形態問わず全スタッフと幾度となく会議を重ねてきました。

少しずつ社内の空気も変わってきて、
自分たちで試行錯誤しながら動き出している様子が、
とても嬉しく感じました。

社外では、毎月1回の頻度で、大学の授業の一コマに登壇して
「旅館の魅力」について話をさせてもらう機会が増えました。
大阪学院大学、京都産業大学、京都橘大学、和歌山大学、大阪成蹊大学…

年明けも早々に2校が決まっています。
これだけホスピタリティ産業が繁栄する中、
日本文化の凝縮されている「旅館」を若い人たちに伝えられる機会を
頂けてほんとうに有難く感じています。

また京都府や京都市のご指名で、偉そうに話をする機会も頂きました。
まだまだ未熟な私に声がかかるとは~と恐縮していましたが
来年は「不惑」の年。自分でもビックリです。

六星占術では、今年まで私は‘大殺界’という
良からぬ運勢に居たそうですが
来年から私の運勢は良くなります!

といっても、今年も健康に恵まれタイトル通り、
いろんなことにチャレンジできたし申し分ない一年でしたが(^^;)

それでもやっぱり なんだか視界がパァーっと明るくなるような気持ち。
念願の40代のスタートが良い運気で迎えられるので、
すでにテンションあがっています♪

だから来年はもっとバリバリ働くぞ~!
…と言いたいところですが、ちゃんとプライベートな時間も持ちたい(TT)

ママ友と優雅にランチに行きたい。
ハーフでいいのでゴルフに行きたい。
ヨガかジムに通って体幹を鍛えたい。
また一週間ぐらい消えて海外に行きたい。

くだらない願望ばかりで恥ずかしいですね。

さておき来年は
「お客様に心から喜んで頂くにはどうしていくべきか」
という基本に立ち返り
スタッフ全員で接客からバックヤードまで
ひとつずつの見なおしをしていく一年にします。

今年もこのブログをご笑覧いただき
有難うございました。

皆様も よいお年をお迎えくださいませ。

20代の生意気盛り

先日、お付き合いのある業者の社長がお亡くなりになりました。
60代に入られたばかりの若さで、ましてやつい先日お会いしたばかりの記憶があったので
訃報を聞いたときはとても信じることができませんでした。

私が大学卒業後、すぐに新門荘に入社した時の事です。
会社経営が大変苦しい時期でした。

とにかく経費の削減!ということで箸一膳の何十銭という単位から金額を見直していました。
どの商品も2-5社の相見積を取り続け、相手業者の
「先代からのお付き合いやのに!」などという小言にもめげず
どんどん他社に変更していました。

そんな生意気盛りで勘違いも甚だしい20代の私に唯一、頭を下げてこられたのが冒頭の社長さんでした。
「若女将の仰る通りです。‵長い付き合い’に胡坐かいて価格の見なおしも一度もせず
ずっとお座なりにしてきました。もう一度チャンス下さい」という言葉でした。

今まで、こんな小娘に丁寧に言葉をかけてくれる方も居なかっただけに、本当に驚きました。

ご自身も先代から会社を引き継いだ時に、
幹部クラスの従業員が3名だったか、3名を残して全員だったか記憶はあいまいですが、
突然辞められたりと若いころは大変ご苦労されたようです。

そんな貴重な話も聞かせて頂き「大変だろうけどしっかり頑張ってや」と
ありがちなことは仰らなかったけど、精神的に励ましてもらいました。

さらに後日、その社長は私宛に手紙まで送ってくださいました。
「先日は先輩面して偉そうなことを言いました云々 応援している」という内容でした。

当時、経験がないゆえに本の知識だけで頭デッカチになっていた私は
今までの強引なやり方を反省し、どのような場面や相手でも言葉を選ぶことを学び、
根本的に自分の姿勢を振り返るきっかけとなりました。

どれだけ山ほどの書籍を読み漁っても、たった一人の人間によって
心の底から揺さぶられたような衝撃を受けていました。

自分よりうんと若い人にも、きちんと頭を下げられるような人になりたい。
これみよがしな説教ではなく、自然体で物事の道筋を照らしてあげられる人になりたい。
頑張っている人間を精神的に支えられる存在でありたい。

この社長さんを通して、様々な目指すべきリーダー像が見えてきました。

あの時の衝撃と感動から、早15年経ったでしょうか。

告別式ではその人望の厚さゆえに、多くの方がすすり泣き偲んでしました。
ご霊前を前にしっかり手を合わせてきたけれども、
心にポッカリ穴が開いたような一抹の寂しさが残っています。

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