女将のブログ

大広間のbefore&after

以前ブログ(2019年1月10日)に少しだけ触れていましたが、今年の正月明けに大広間の壁紙と畳を交換しました。

たったこれだけで随分と印象が変わるものですね。広さは勿論、照明や天井などは変えていません。

beforeの写真は2010年の頃に撮ってもらいましたが、今から約10年前は施設の畳と言えば「緑」や「生成り」の色が標準。
きっと今でもそうでしょう。だって、これ以外の色は若干料金が高いので。

思い切って、黒など濃いぃ~色も考えなくもなかったですが、
私が選んだ色はベージュのような薄い茶系。
そして、畳の縁(ヘリ)は畳と同化するような色にして、できるだけ広く見せようと思いました。

 

合間を見つけてはこれまで撮ってもらってきた写真という写真を整理しています。そう、断捨離。
こうした館内のパブリックスペースや、客室、料理、スタッフ…
被写体がアレヤコレヤと多いので、整理するにも意外な時間を要します。

200名の昼食

先日は静岡県の某中学校様が約200名お越しになりました。
もちろん21室しかない新門荘でのご宿泊ではなく、お昼席だけのご利用です。

100名ずつに分かれて頂き、舞妓の京舞鑑賞や京ことば講座を聞いて頂く為に屋上へ。
この屋上は夏季のビアガーデンでしか利用しないので、もともとの座席数は60席。

レンタル椅子をご用意してスタンバイ!

 

 

舞妓さんは2名来てくれました。

一人はベテランの「小はる」ちゃん。今やもう所属する花街、宮川町で最年長になっているとのこと。

いつもニコニコ、フランクで裏表のない人柄の良さが滲み出ている素敵な舞妓さんです。
バックヤードでは黙々と読書。電子書籍やスマホ時代にとても良い習慣です。

もう一人は先月、舞妓デビュー(店出し)したばかりの「ふく典(フクノリ)」ちゃん。
まだまだ おぼこい(幼い)印象ですが、笑顔を絶やさず「おおきにぃ~」と常に低姿勢で、こちらもやはり印象の良い舞妓ちゃん。

見比べるとお分かり頂けるように、同じ舞妓さんでも上級生と下級生で着物や髪形など随分と違いがあります。
出始めの頃の舞妓は、できるだけ幼く見えるように。そして上級生になるにしたがって、大人っぽい印象が出るように…

200名の生徒様も無事に京都市内の観光にご出発なさって、我々もホッと一息。
心に残る修学旅行の一コマになっていれば有難いことです♪

 

 

修学旅行シーズンです☆

長い連休も明け、いつもの生活に戻りました。
京都市内も閑散としています。いや、これがいつもの京都かな。

今日は関東方面からお越しの1000人を超える修学旅行生をお出迎えする歓迎式典が京都駅で行われ、私も若女将と二人で出向いてきました。

少子化、少子化と言われますが京都には毎年10万人を超える修学旅行生が全国各地からお見えです。「未来のリピーター様」ですから、宿泊業界はもちろんのこと、観光業界全体は一般観光客と変わらぬ思いで出向むかえさせてもらっています。

連休明けに京都駅で行われるこのセレモニーも平成9年からずっと変わらず続いています。JR東海、東映太秦映画村、保津川下り、観光バス業界… 修学旅行生の皆さんと関わる観光業界が集まり10時前後に京都駅に到着する方をお迎え。

照れくさそうに、でも嬉しそうに前を通って行かれました。

この歓迎式は今日と明日のみの限定ですが、これからしばらくは気候も良く、観光にはベストシーズンですね。たまたま学校の修学旅行の行き先が「京都」ということで、来てみたけれどなーんか京都って面白いな。また来てみたいな…と思って頂けるように、私たちも気持ちよい接客でお出迎えさせて頂きます。

平成から令和へ

新天皇が即位され「令和」の時代が始まりました。

元号は不要だという考えをお持ちの方もいるそうですが、私は元号とは同じ日本人同士がひとつの時代を共有する精神的な一体感があるように感じています。


さて、おかげさまで どうなることやと気を揉んでいた10連休も今日までの前半は、大きなトラブルもなく、毎日お客様をお迎えすることが出来ています。21室全てご夕食付。表に立つスタッフ、裏で支えるスタッフ併せて20数名。この小さな旅館内でもお客様を笑顔でお迎えして楽しんでいただこう!という一体感で、みんな睡眠時間も削りながらも当然のごとくして懸命に働いてくれています。

数えきれないほどある宿泊施設の中、当館をご選定くださったお客様にはもちろん心から感謝していますが、同時にこうしてお客様をお迎えするスタッフにも感謝しています。


「令和」の時代に併せるかのように、女性スタッフの着物も一新しました。
これまでグレー系でしたが、新門荘のコーポレートカラーでもある紫系に。
若女将、仲居頭、主任は黒系に。

以前より落ち着いた印象です。

「旅館業」は大変な仕事であるには違いないですが、同時に目の前の人様を喜ばすことが出来るとても幸せな仕事でもあります。

平成最後の都をどり

昨日、実際の舞台を観ておいてもらいたいスタッフ3名と共に「都をどり」に行ってきました。

今年は「南座」で公演です。この会場での開催は67年ぶりだそうです。67年前と言えば昭和27年。戦後の復活公演以来という事です。「都をどり」そのものは明治5年に創始されましたから、戦中戦後の6年を除けば150回を超える歴史ある舞台ですね。


ポロポロ抜けていますが、平成14年以降の都をどりのパンフレットを置いています。「都をどり」の舞台に立つ芸舞妓は「祇園甲部」という花街に所属しています。このパンフレットには全芸舞妓の顔写真が載っていますが、平成14年頃と比べると興味深いです。この舞妓が今や立派な芸妓さんだ!とか、あの名妓はもう居ないなぁ~とか。

パンフレットの表紙は全て三輪晃久氏が描かれたもの。同じ桜でも様々な表情があります。

例年の会場である「甲部歌舞練場」の舞台には花道がないのですが、今回の南座では歌舞伎でよく見る一本の花道が。演者が舞台下に自動で下がっていくシーンなど、これまでの「都をどり」とはまた一味違った演出でした。

都をどりを初めて観覧した3名に感想を聞くと、「格式が高いイメージで難しいと思っていたが分かりやすい内容だった」との声も。なるほど「わらしべ長者」の話などの場面もあり、我々素人でも十分楽しめました。


今回会場に響き渡る「笛」がとても上手で、思わず誰だ?と番付表を調べると「紗月」さんという芸妓さん。彼女はとても芸事に熱心な性格な上に売れっ妓だと聞いているのでそれも納得。

数年前の都をどりで、素人の私でも分かるほどの「笛」が下手な舞台を見てズッコケたことがあるので、とても安心して舞台に見入っていました。(^^)

着物生地でバインダー&つり銭トレイ

5年ほど前に厚紙にフランスの生地を貼って箱を作る「カルトナージュ」というものに出合いました。今も仲良くさせてもらっているママ友が「東京から有名な先生が来るからレッスンに来ないか?」と声をかけてくれたのが きっかけです。

しかし当時の私は「カルトナージュ」という言葉はおろか、なんのジャンルかさえも全くわからず、もしや怪しい宗教の勧誘か?!と思ったぐらい無知でした。

まぁまぁお付き合いで一回だけ… と思っていたのですが、その後どっぷりハマってしまいました。そして、その数年後にはレッスン会場に新門荘をご提供するまでに。今や年10回ほどわざわざ東京からお越しいただき京都レッスンとして、定期開催していただくまでに。

Apres-midi(アプレ・ミディ) 木下康子先生

針作業はとても苦手なのですが、図工のような制作は好きだし、数ミリ単位の細かな作業をするのは好き。みんなで同じ作品を作っているのに、それぞれの個性が発揮できる「カルトナージュ」 そして、ご指導いただく木下先生の上品で落ち着いたセンスが、私の好みにドンピシャ。だから一回こっきりでなく、これまで続けさせてもらっているのだと思います。

さて、今までは決められた作品を、好みの生地を選定させてもらい作ってきましたが、元スタッフが「カルトナージュってそういうことなんですね!だったら最後のお釣り銭をお渡しするトレイはとても印象に残ると思うんですよね!」と素敵な提案をしてくれたこともあり、今回初めて ここ新門荘で使えるものを作りたいと希望を出しました。


母に 今や使わない着物を引っ張り出して来てもらいました。
勿体ない気もしますが、着ないのならゴミと同じ。
リバイバルさせるためにビリビリに裁断!
生地そのものはペラペラなので専用の補強紙をアイロンで裏打ちをして厚紙に貼っていきます。

時にチェックイン時が混み合った際に、ロビーの椅子に掛けて記帳してもらう事もあるので、その時に使用するクリップボードも併せて作成しました。

なんだ、厚紙に貼るだけ?と簡単そうに見えるかもしれませんが、箱の組み立てや補強作業もあり、ひとつのトレイを作るのに合計5時間はかかりました…

やっと私の数少ない趣味が仕事に活かされることになった~♪

こうなったら、コツコツとお部屋に入っている小間物トレイも作っていきたいですね! 
…全21室分 (|| ゚Д゚)  完成はいつになる?!

とうとう4月に突入!

新元号の発表もなされました!
「令和」

発表当時は館内にお客様がいらっしゃらなかったので
私もスタッフもロビーのテレビをつけて、11:30の発表をドキドキしながら見ていました。

当館の目の前の白川の「有済橋」にかかる桜の木。
今朝の時点で7-8分咲きとなりました。

去年の桜は早く3月末には散り始めていましたが、
それに比べれば今年は遅め。これからが桜の本番ですね。

それにしても、この場所の桜はわざわざ観光客が訪れるようなスポットではなく、地元の人間や偶然通りがかる人が思わず立ちすくむ場所だったのですが、いつの間にか大勢の人が写真を撮るようなにぎやかな場所になってしまいました。

残念ながら日本語が聞こえず…


ところで、お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが
この4月1日より「若女将ブログ」は「女将ブログ」に変わりました。

23才の年で、右も左も分からずに肩書だけ立派な「若女将」として、お客様の前に出るようになって17年。着物も着られない、畳の上での挨拶もできない、花街はおろか京都の事も知らない私が、多くのお客様から教えて頂き、スタッフに助けてもらい ここまでやってくることが出来ました。

この商売に「完璧」や「完成」はないので、私自身まだまだ至らないだらけではありますが、この度 私の下に 頼もしい20代の「若女将」を任命して活躍してもらう事になりました。他にも館内にも多々変化がありますが、彼女の紹介も含め、今後少しずつご紹介していきます。

天皇陛下が目の前を!!

メディアでの報道通り、25日~28日まで天皇陛下・皇后陛下が京都奈良へお越しでした。京都市内では事前に交通規制の看板が出ており、この3日間はお天気にも恵まれ、空を見上げればヘリコプターもよく見かけました。

お帰りの最終日28日、私は珍しく自宅から地下鉄・京阪電車に乗って「三条京阪」まで出てきました。階段を上り地上に出ると、いつもワンサカひっきりなしの車が一台もない!! 次に目に入ったのは交差点四方の人だかり。

やや!もしや?! 期待を膨らまし警察官に尋ねると、なんと!
5分後に陛下がお通りになる、とのこと。

人生でこれほど興奮したことはありません。
わずかの5分間がこんなにも待ち遠しく幸せに感じた日はありません。

じきに新元号が発表され、まもなく平成も終わるという直前に、今上天皇を拝することができるとは夢にも思わず。 こちら側を向いて手を振ってくださった瞬間、カメラも忘れ思わずワー!!と声を上げ必死で手を振る私。

一気にドーパミンが溢れだしました。

今年の京都の桜開花は去年より遅めです。当館の目の前の白川に掛かる桜はようやく5分咲きといったところ。新元号が発表されてもしばらく愛でることができそうです。


出ました!古伊万里の大皿

3月初旬に30名以上の団体のお客様が 宴会とご宿泊でご利用くださいました。
「料理が間違いなく美味しかったから!」と幹事様のお一人が、別のお客様を連れて再びお越しくださいました。

これ以上ない有難いお褒めの言葉頂き、私も調理場も舞い上がっていました。

3名様の日帰りのご利用でしたので、
お造りは両手で抱えないといけないほど大皿で盛られました。
この古伊万里は江戸時代の骨董品級の器で、すべて手描きです。

ずっしりと重く歴史の重みさえも感じます。
骨董品はただ眺めるのではなく、料理が盛られてこそ価値がありますね。
心から痛感した一コマでした。

続いてお出ししたステーキも「平井牛」で、
添えの牛蒡も塩とバターが効いて美味しい(味見させてくれたのです)

「タラバ蟹とレンコンのすり流し」
今の時期だけの器。素敵。

大御所とイベントトーク

3月11日、主に新4回生を対象としたリクルート主催の「企業発見&選考準備LIVE」がインテックス大阪で開催されました。

畏れ多くも、ホテルニューアワジグループの木下学社長(左)と城崎温泉の西村屋の西村総一郎社長(右)とご一緒にトークイベントに登壇させて頂きました。

「ホテル旅館業は地方消滅の危機を救う新たなビジネスの形」という趣旨で
一、地方創生と旅館業について
一、インバウンド需要について
一、旅館業とキャリアについて
一、社長・女将に質問してみよう
という4つのセクションに分けて計90分。


当館は開催された就職活動のブースを出していないのですが、有難いことにお声掛け頂いた12月。その一回だけの簡単な打合せの後、ぶっつけ本番。「お三方なら本番でなんとかいけるでしょう」とのことで…


わずか50年で友好的買収で14施設もあるホテルニューアワジグループさん。
創業150年、城崎の村長をされていた創業者から今に至る西村屋さん。

お二人の話を伺うと、やはり確固たる信念の元に経営されていて、お題目の一つでもあった「地方創生」を真剣に考えておられ、着々と実行に移されている。

基本は台本のないフリートークなので、私はただただお二人の話の圧巻のスケールに慄き、これは私のような若輩者が出る場面ではないのでは…と恥ずかしささえも覚えました。

同時にこのような二度とないような貴重な機会の場に、指名いただいたことに心から感謝しました。

この時代、「旅」はただの娯楽という枠を超えて、いまや「人と人との絆を深める」役割も果たしていると思います。一緒に旅をする人と深める絆、その宿のスタッフと交わす会話で深まる絆。

AIの進化で2020~30年には、いまの職業の49%はなくなるという試算があるとも聞いたことがありますが、それでも無くならない職の一つが「旅館業」ではないでしょうか。大御所お二人から「宿は人なり」という言葉が出ていましたが、働くスタッフの力量によってその宿の価値は大きく左右されます。その為に宿の経営者はスタッフが楽しく働ける環境づくりに躍起になっているのです。


「ありがとう、あなたのお蔭で良い思い出が作れたわ」

そんな一言を頂戴するために、日々試行錯誤し、目の前のお客様の為に全力で働く。私たちの仕事は永遠に廃れることのない誇り高き職種だと思っています。

給与額や福利厚生も大事なのかもしれませんが、人生100年と言われる時代、やりがいのある仕事にチャレンジすることの方が人生が実り豊かになるような気がします。

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